蕎麦と饂飩を食べる

落語家が蕎麦と饂飩の食べるしぐさをして見せるときがある。前から気にはなっていたのだけれど、大抵の場合、「饂飩の方が太いから音が低い」みたいなことを言う。でもそれは違うのではないかと前から思っていた。
で先日、久しぶりにざるそばとざるうどんを二日空けずに食べて気がついた。やっぱりそうじゃない。


脱線するけど、香川の人は夏でも少なからぬ人は笊饂飩や冷し饂飩ではなく、かけ饂飩を食べる。ただし「ぬるめ」で。通常かけうどんは、ゆで上がって水で締めた麺を再度お湯で温めてそこに熱い出汁をかけるのだが、温め直さずにつめたいままのところに熱い出汁をかけたり、「あまりぬくめず」に出汁をかけたり、店によっては「冷たいかけ出汁」があったりする。さすがにかけ饂飩はって時には、「ぶっかけの冷たいの」がある。それを通り越して初めてザル饂飩って訳で、ザル饂飩への道のりは遠い。


本題本題。
少なくとも讃岐の場合、饂飩は、蕎麦と違って、ねじれが少ない。また、一本一本が太いので、一回にすすれる本数が少ない。従って、麺にからむ出汁の量は饂飩の方が少ない。それ故に、麺をすする時、そばの方が液体分が多い。液体分の多い低い音になるのは、むしろそばの方ではないか。


また、これも讃岐に限定されるかもしれないけれど、讃岐うどんは長い。よくザルから麺をつまみ上げる人がいるけれど、讃岐うどんの場合は、右手を上に伸ばし切っても麺全体をつまみ上げることが出来なかったりする。一方蕎麦は、さすがにそんなに長くない。大抵一口ないしは一口半ですすりきれる。また麺が細いことで、そそり上げる勢いで出汁が飛び散る危険性が少なく、おのずと勢いつけてすすれることになる。
讃岐の場合、長く太いうどんをそそる人は、むしろ出汁が飛び散らないように多少慎重に人によっては箸を添えつつ何回かに分けてそそり込むことになる。

てことで、それぞれ二口ずつ食べてるところを擬音で表すと、

蕎麦「ゾッ、ゾ。……ゾッ、ゾ。……」
饂飩「ズル、ズッ、ズッ、ズッ、ズ。……ズル、ズッ、ズッ、ズッ、ズ。……」

ちなみに
素麺「チュルチュ。……チュルチュ。……」


落語家の皆様いかがなものでしょうか?