そね女史に敬意を払いつつ

同じ名前で呼ばれておりながら、その実質は全く異質なるものではないかと言う例としては、名著「コキール男爵」で指摘されているオムライスがやはり一番であろう。その後三年半もかけて、同様のネタを思いついたので、ここで披露しようという次第である。

まずやはり、オムライス。女史が指摘している通り、いわゆる「ふわふわオムレツ」が単なる手抜きであることは言うまでもない。あれは既に「オム」ですらない。いちばん近いのは、「玉子丼」ではなかろうか。そこで、あれは今後「洋風玉子丼」ないしは「玉子ボウル」ってのは如何だろうか。


次に、チャーハン。チャーハンってのは米のパラパラ具合を楽しむのがキモだと思うのだが、先日、某テレビ番組で美味いチャーハンのランキングをしていて、ほとんどがいわゆる「餡掛けチャーハン」だった。餡掛けだのとろとろだのが美味いのは分かるが、しかしそれはそれ、チャーハンはチャーハンではなかろうか。
パラパラのチャーハンを期待して注文して、餡掛けガッツリのあのチャーハンがでて来たらガッカリするのではなかろうか。さらには、あれがチャーハンだと定着すると、従来のチャーハンは「カツ丼の頭抜き」とかうな丼のウナギ抜きとかいった手抜き料理貧乏料理に堕ちはしまいかと危惧する次第である。
そこで新名称だが、とろみを付けた餡をご飯の上にかけると言ってすぐに思い浮かぶのは「中華丼」。中華丼のご飯をチャーハンにすれば餡掛けチャーハンではないか。そこで、中華チャーハンってのはどうだろうか。チャーハンが既に中華であることについては触れてはいけません。


最後に、生姜焼き。我が家でしょうが焼きといえば、豚のばら肉を玉ネギと一緒に炒めて醤油とおろし生姜で味付けしたもの。ところが料理屋なんかで出て来るのはもっと大きめの肉を焼いてとろみの付いたタレをかけたもの。あれはあれで嫌いではないのだけれど、別の料理ではないだろうか。でもってちょっと検索したのだが、あれはポークジンジャーと呼ぶべきであろう。「豚の生姜焼き」というとどちらも指すけれど、「ポークジンジャー」といえば、後者しか指さない(と思う)これはもう新命名ではなく、もとからある名前だ。