定点観測丸二十年

このところ、気づいたら当日ってことが多かったように思うのだけれども、今年は数日前から、ニュースなんかで話題を目にしたように思う。二十年ということで、話題が取り上げられることが多かったのかもしれない。そして、それについて特別嫌な思いをすることもなかった。
昨日のよる、夜のニュースを見ながら、子ども達に、あの日何をしたか思い出しながら喋った。前の晩に翌日の予習をして寝たこと。新聞配達をしていた友人が部屋に戻って椅子に座った途端に揺れたこと。自分のベッドは二段ベッドの上の段だったこと。梯子が外れて机の上におりたこと。机も棚も倒れていたこと。部屋から出て隣の部屋の人たちに声をかけて回ったこと。食堂の石油ストーブのホースが外れて灯油が流れ出ていたり、デカい水道タンクの土台が割れて水が流れ出ていたこと。食堂のテーブルを庭に出して明るくなるのを待ったこと。電気が止まったので、カーラジオでニュースを聞いたこと。近所を回ったら泣いているおばさんがいたこと。銭湯の親父さんが枕をもって避難していたこと。模型屋のビルが倒れたり、市場が全部つぶれていたりしたこと。公園に避難していた人がたき火を始めていたこと。夕方になって外で寝てる人たちを校舎に受け入れたこと。ブロックで簡易のかまどを作り火を焚いてその晩もう温かい食べ物を食べていたこと。その晩から毎晩礼拝をしたこと。京都から米を積んでバイクで来た人、金沢からポリタンクなんかをトラックに積んで来た人、簡易のトイレを建てた大工さん。思い出せる限りのことは喋った。もう喋れるようになったんだな。と思った。