教育再生会議の緊急提言って「バカ」?

昨日の新聞を今日になって読んでいたら、変なニュースを見つけた。
これ、「教育再生会議 いじめ緊急提言 自殺連鎖は止められるのか」である。ちょっと長いけど、例によって最後に全文引用しておく。
 パッと読んで、こいつら何にも分っていないんじゃないだろうかと呆れた。
主に呆れたのはこの二つの文章

 緊急提言に記された「毅然とした対応」は、「出席停止」を念頭に置き、例として「社会奉仕、個別指導、別教室での授業」などを示した。

 教育再生会議の緊急提言は、いじめた子への学校のとるべき姿勢として、「毅然(きぜん)とした対応」を掲げた。最も厳しい処置としては「出席停止」が該当する。

記事ではきちんと書いてないけれど、この二つの文を総合すれば、教育再生会議が緊急に提言したいじめを防止する対策というのは、いじめをした子どもを、クラスから隔離して、とりあえずいじめを無くす、いじめた子は「社会奉仕」でもさせて矯正する。というものであろう。
この会議って、本当に専門家が集まっているんだろうか?「いじめ」が、特定の加害者と被害者がいて、加害者を分離矯正すれば被害者が無くなるなんて単純なものだと思ってるのだとしたら、おめでたいのも甚だしい。いじめへの対処の難しいところは、その集団の中に居る全てのメンバーが、誰でも皆、直接の加害者になりうることと、逆に誰でも皆、被害者になりうることではないのか。一人ないしは数人を隔離したところで、いじめは無くなりっこない、場合によってはますますひどくなる。そして、隔離された子どもは容易にいじめられる側になる。こんなことが分らないで何が教育再生会議だ。
いじめは、個々人の素養の問題ではなく、社会システムの問題だ。個々の加害者を矯正しても問題は決してなくならない。一元化・疑似均質化・唯一化している学校という社会システムを多元化・多様化・複数化することを考えるべきだ。
この会議の主要なメンバー?であるのが、義家弘介氏で、わたしは彼についてはほとんど知らない。知らないでこんなことを書くのは失礼の極みであるが、こんなバカな提言を出しているようでは、そもそも教育者としての資質も経験値も皆無なのではないかと疑ってしまう。
(以下記事全文引用)

教育再生会議 いじめ緊急提言 自殺連鎖は止められるのか

 
 続発するいじめ事件を受け、対策を検討していた政府の教育再生会議は、いじめをした児童・生徒に対して、学校が「毅然とした対応をとる」ことを柱の一つとした緊急提言をまとめた。提言には、いじめに加担するなどした教員の懲戒処分もある。緊急提言をどう受け止めるのか。いじめ自殺の連鎖は止められるのか。【高山純二、佐藤敬一、吉永磨美】
 緊急提言に記された「毅然とした対応」は、「出席停止」を念頭に置き、例として「社会奉仕、個別指導、別教室での授業」などを示した。
 会議後、義家弘介・同会議担当室長は「出席停止という文言は提言に含まれていないが、別教室での授業も出席停止と同じだ。(指導、懲戒の)基準を国が明確にし、学校現場を応援していかないといけない」と説明した。
 総合学習の取り組みで全国に知られる東京都内の区立小学校の善元幸夫教諭は「(出席停止は)教育の場から子どもの学ぶ権利を奪う措置であり、たやすく抜いてはならない伝家の宝刀だ。実際、いじめに適用するのは非常に困難で、また、本質的な解決にはならない」と否定的な見方を示す。
 都内の別の小学校教諭も「子どもが教室に戻ってきた後はどうするのか。一時的に切り捨てても、さらに悪くなるだけかもしれない」と危惧(きぐ)する。
 一方、いじめに関する著書がある作家で弁護士の中嶋博行さんは「これまではいじめられた側が不登校になったり、転校を余儀なくされてきたが、本末転倒な話だ。目に見える形で処分すれば、いじめグループは崩壊する可能性が高い」と語る。
 首相の私的諮問機関「教育改革国民会議」のメンバーを務めた藤田英典国際基督教大教授(教育社会学)は「00年の国民会議の提言などを受け、出席停止や指導力不足教員の処分は制度上は既に実施可能となっている」と言う。
 そのうえで、藤田教授は、教員の懲戒処分に関し、「本当にひどい場合はやむを得ないが、適切な対応を取れなかったケースでの厳しい処分はあり得ない。どのような場合にどう処分するかの認定や判断は難しい。懲戒処分が不必要だとは言わないが、それ以前にやるべきことがあるはずだ」と語った。
 ◇「毅然とした対応」10年以上繰り返された提唱
 教育再生会議の緊急提言は、いじめた子への学校のとるべき姿勢として、「毅然(きぜん)とした対応」を掲げた。最も厳しい処置としては「出席停止」が該当する。会議終了後、池田守男座長代理は会見し、出席停止の文言を入れるかで委員間で激論があったことを明かした。
 「毅然とした対応」を学校に求めるのはこれが初めてではない。愛知県西尾市で94年11月起きた大河内清輝君いじめ自殺を受けて、旧文部省の「いじめ対策緊急会議」は95年3月、出席停止措置など厳しい対応が必要とする報告書をまとめた。これまで、文科省は国会答弁で、出席停止をいじめ対策として公言してきたが、実際の学校現場では、ほとんど適用されて来なかった。
 そもそも小中学生には義務教育が保障されている。結局、提言では出席停止の文言を避け、別教室授業や社会奉仕活動への参加を「毅然対応策」に掲げた。
 だが、さまざまな態様のあるいじめの中で、より一般的で深刻化しているとされる集団での無視、嫌がらせなどは、いじめる側といじめられる側がしばしば逆転する。こうした場合、別教室授業も含め、やはり強権的な対策を取るのは困難だろう。
 また、今回、再生会議が打ち出した「いじめを放置・助長した教師の懲戒処分」も、どんな基準で、どう判断するか、極めてデリケートな問題だ。いじめ解決ではなく、学校あげての犯人探しにならないだろうか。
 このほかにも、いじめへの取り組みを学校・教員評価に反映させる−−など今回の提言には新たな部分もある。一方、いじめは絶対許されない▽傍観する行為も許されない▽相談体制の充実▽家庭の責任−−など95年の報告書と重なる部分も多い。10年たって同じことを言わざるを得ないことに、いじめ対策の難しさが現れている。【竹中拓実】
毎日新聞) - 11月29日16時57分更新