たまには社説をくさしてみよう

朝日新聞8月18日社説)

 ただ、大学だけに責任を負わせて済む話ではない。問題のある集団の情報を集め、早めに発信する。家族の相談に応じ、脱会を支援する。そうした活動を、さまざまな団体や行政が連携して進めることも欠かせない。

主語が誰だかわからないのだけれど、「行政が連携」するって、朝日新聞は、組織犯罪対策法とか破防法とかに反対なんじゃなかったのかい?

 とりわけ既存の宗教団体は深刻に受けとめるべきだ。若者を反社会的な集団から守る活動に率先して加わってほしい。

摂理の報道直後に、脱会者の支援をしていると言う人が何人かテレビに出ていた。そこにはキリスト教の牧師が結構居たように思うのだけれど、彼等がそれ以前から「反社会的な集団から守る活動に率先して加わって」居なかったとでもいうのだろうか。この手の活動は結構やってるよ。ただし宗教団体が他の宗教団体に反対する活動をやったって、通常は内輪もめにしか思われない。一方が実際に反社会的な活動をしていることが明らかになって、初めて少し評価される原理にしてもオウムにしても摂理にしても他の何かにしても
むしろ、そう言う地道な活動を紹介するのが新聞の仕事じゃないの?


以下社説全文


「摂理 教団のワナにはまるな」

 韓国で生まれた新興宗教集団「摂理」が、日本でも深刻な問題を起こしている。

 鄭明析(チョンミョンソク)教祖は、女性信者に対する強姦(ごうかん)容疑で韓国から国際手配されている。それ以前に鄭教祖はたびたび来日し、国内でも女子学生らに性的暴力を繰り返していた。脱会した信者らはそう証言している。

 信教の自由はもとより尊重しなければならない。宗教に、世俗とは異なる世界観や価値観があることも認めるべきだ。

 しかし、いくら宗教団体であっても、法を犯す行為は許されない。女性信者への性的暴力を繰り返していたとなれば、悪質な犯罪である。

 日本の信者の脱会を支援している弁護士らは、国内にいる韓国人幹部ら3人を出入国管理法違反などの容疑で警察に告発した。教祖による性的被害についても刑事責任を追及するという。

 警察は徹底的に捜査してもらいたい。同じような被害を二度と出さないためには、違法な行為を厳しく取り締まる必要がある。

 「摂理」はキリスト教の聖書を独自に解釈した教義を掲げ、日本の信者は約2千人とみられている。教祖に絶対的な服従を誓い、共同生活をしたり、信者同士の合同結婚式に参加させられたりしているという。

 献金は金額が大きいほど評価されるといい、その結果、生活に困る若者も目立つ。「子どもを取り返したい」という親たちからの相談は急増している。

 合同結婚や献金は信者を救済するためだ、と教団は反論するだろう。しかし、実態を冷静に見れば、信者の心を操り、金を巻き上げる反社会的な集団というしかない。

 こんないかがわしい組織に若者たちが引き込まれたのはなぜか。

 勧誘の手口は目新しいものではない。大学を舞台に、スポーツや文化のサークル活動を装って学生に近づく。濃密な人間関係を築いたところで、宗教団体であることを明かし、教義を教え込む。

 家庭や学校で自分の居場所がないと悩み、これまでの人生を変えたいと願う。そんなまじめな若者が狙われやすい。

 オウム真理教による一連の犯罪を通じて、多くの学生や若者が反社会的な集団に取り込まれる現実を目の当たりにしたばかりだ。いったん入信した若者を脱会させるのは簡単なことではない。

 怪しげな教団や偽装サークルがあることについて、大学が注意を呼びかけることは大切だ。とくに社会生活に不慣れな新入生への配慮が欠かせない。

 ただ、大学だけに責任を負わせて済む話ではない。問題のある集団の情報を集め、早めに発信する。家族の相談に応じ、脱会を支援する。そうした活動を、さまざまな団体や行政が連携して進めることも欠かせない。

 とりわけ既存の宗教団体は深刻に受けとめるべきだ。若者を反社会的な集団から守る活動に率先して加わってほしい。