障害者プロレスドッグレッグス

このところ、チェックしてないけれど、気になる団体ではある。
15周年だそうで、新聞に記事が出ていた。
東京新聞
全文は下の方で引用するけれど、引っ掛かったのは、観客のコメント。

観戦した世田谷区の主婦○○○○さん(30)は「見せ物というより、スポーツ。真剣にやってるところがいい」。
杉並区のフリーター××××さん(36)は「リングに上がる時だけ助けてあげればいい。福祉のあるべき姿ですね」と感想を話す。
(中略)
 精神科医香山リカさんも大ファンでリングドクターを務める。「最初はキワモノとか、過剰に感動的に思われたりしていたが、やっと普通に見られるようになってきた」と語る。

北島さんが、これでよしとするのであれば、ドッグレッグスは(少なくとも、私の中では)終ったって事だなぁと思う。

以下、記事全文。しかるべきところから連絡があれば削除します。
楽しさ無制限 全身勝負
障害者プロレス15年 


 障害者のプロレス団体「ドッグレッグス」(東京都世田谷区)が結成されて、今年で十五年。当初は観客が五人しかいなかった興行も、今や三百席の会場がいつも満杯になるほど。障害者プロレスが、ここまで人気を集めるようになった理由とは。

 七月二十一日、東京・世田谷の北沢タウンホール。軽快な音楽の中、スポットライトを浴びて選手たちが現れる。健常者に抱えられてリングに上がる選手。対戦相手は車いすで登場だ。

 「青コーナー、E・T! 赤コーナー、アームボム藤原!」のアナウンス。選手は鉢巻きやマントを投げ、やる気を見せる。

 「貫録ありますねえ。久しぶりの登場。二年間、何をやっていたのでしょうか」とユーモアあふれる実況解説の声。観客から笑い声が漏れる。

 二人とも足が不自由で、座った姿勢のまま組み合う。手をつかもうとする。顔や体にパンチが入る。あっという間に、絞め技でアームボム藤原が勝った。勝者は、高々と両手を挙げた。

 試合は三分3ラウンドの総合格闘技と同じルール。勝敗は打撃によるKOか、関節技による一本勝ちのみ。ただ障害がある部位を攻めることは禁止されている。観戦した世田谷区の主婦中田れいこさん(30)は「見せ物というより、スポーツ。真剣にやってるところがいい」。杉並区のフリーター小形一彦さん(36)は「リングに上がる時だけ助けてあげればいい。福祉のあるべき姿ですね」と感想を話す。

 障害者プロレスが始まったのは、一九九一年。当時は脳性まひの障害者二人だった選手も、今や三十人を超える。手足が不自由な身体障害者のほか、視覚障害者や知的障害者など、障害の種類も増えた。健常者もスタッフとして約三十人が登録している。

 「ドッグレッグス」代表のフリーライター北島行徳さん(41)は「月一回合同練習しているので、レベルは上がっている。最初は、子供のけんかのようでした」と思い出す。

 脳性まひの二人がけんかをするのを見て、「どうせやるなら、リングの上でやりなよ」とプロレスを勧めた。第一回は、世田谷ボランティアセンターの会議室にじゅうたんを敷いただけの簡易リング。やってみると「表情が素晴らしかった。抑圧を発散していると感じた」と北島さん。

 口コミで観客は広がった。一度見た客が他の人を誘ってくる。一九九五年からはチケットぴあで入場券を購入できるようにした。九八年からは本格的にリングを借りてやるようになった。三百円で始まった入場料も、今では三千円を超えることも。

 選手が増えたので、障害によって、立って闘うヘビー級、座った体勢のスーパーヘビー級、寝ころんで闘うミラクルヘビー級の三つに分けた。健常者と障害者が対戦する無差別級もある。激しい格闘をする割には、レフェリーが早めに止めるので、ケガもほとんどない。

 精神科医香山リカさんも大ファンでリングドクターを務める。「最初はキワモノとか、過剰に感動的に思われたりしていたが、やっと普通に見られるようになってきた」と語る。試合前に選手の私生活や家族などを紹介する映像が流される。香山さんは「ハラハラ、ドキドキ。選手の背景を知っているから、試合は人間ドラマのようです」。

 選手歴十五年のサンボ慎太郎さん(37)は「試合が楽しみだから、毎日練習している」。経験五年で、両足の不自由な鶴園誠さん(29)は「腕力だけでも強いことが示せて、自信が持てた」とうれしそうだ。

 障害のない北島さんも出場することがある。「障害者ととことんまで闘って分かったことがある。それは、障害者が健常者と同じである必要はないということ。どこに障害があろうと闘えるスポーツ。それがプロレスです。やりたい障害者がいる限り、やめるわけにはいかない」と続ける覚悟をみせた。

 文・吉岡逸夫/写真・石井裕之