個食とおむつ

ある所で「個食について」と題して15分くらいの話を聞いたんです。
以下記憶で再現

最近の子どもは一人で好きな者を好きな時間に食べるけれども、それでは将来必ずメタボになる。あなた達大学生の親くらいの世代から、子どもに「好き嫌いは駄目」「残さず食べなさい」と言わなくなった。それが悪い。出産里帰りしていた卒業生に「旦那の食事は?」って聞いたらお金を渡して来たとのこと。そんなことでは駄目。外食は油が多い糖分が多い塩分が多い。健康に悪い。学生のうちから自炊するようにしなさい。「自炊は高くつく」と思うのは買ったものを使い回さないから。レタスを買って半分食べたら後は漬け物にするとか酢漬けにするとかしなさい。それから、旬のものを食べなさい。苺でも旬の苺を買ってジャムを作りなさい。苺の旬は今頃なのに、みんなは12月から2月頃だと思ってるでしょう。ハウスのものは燃料を使ってます。露地物の苺を食べなさい。その方がエコです。
塩分の一日摂取量は10gまで。うどんをダシまで飲むと6g摂取してしまって、後は塩分を取れないことになる。だったら自炊しなさい。

その話がその場にそぐわないものであったことは置いておくとして、奥さんが里帰りしている間の食事くらい、好きなものを食べさせてくれよと思う。奥さんが手作りしておいておく訳にも行かないだろうし、旦那は旦那で仕事から帰って来て自炊する程暇ではない。っていうか、外食するにしても多少栄養のバランスを考えれば良いじゃないかと思う。
食事を家族がみんな揃って食べるのが良いのは判っているけれど、例えば我が家でも4月から小学校に入った息子は7時半に家を出る。まだ幼稚園の娘は8時半に家を出る。どうしても上の息子が先に食べ始めることになる。幸い我が家は夕食は揃って食べるけれども、部活だ塾だと始まれば、家族が毎食揃って食事をする余裕はあっという間に亡くなってしまう。


そんな話を聞いた帰りに、ラジオで「オムツ無し育児」って取材をしていた。といってもオムツをつけずに垂れ流すのではなく、オムツをつけていても、子どもが排泄をしそうなサインを察知して、先にオマルに座らせて、オムツを使ってしまわないで済むようにするのだそうだ。どっかの大学の先生が、「最近の親は育児について人に聞けずに、育児書に振り回されている。自分の子どもをしっかりと見ていれば、フツーに育てることが出来る」と言ったことを喋っていた。
それはそうだろう。だけど、子どもの顔色をじっと見て、僅かな排泄の前兆を読み取っている程母親は暇ではない。「忙しくても大丈夫。土日だけ見てるお父さんの方が結構サインを見つけるのが上手かったりしますよ」とか言っていたけれども、当たり前だ。休みの日の父親は物珍しいのもあって、じっと子どもの顔を見ている。ちょっとした変化を読み取れるのは当然だろう。


どちらの話も言いたいことは判るし、その通りに出来れば、健康な食事、健全な親子関係が築けるだろう。しかし、そんなに親も子も暇じゃない。むしろ子どもとの関係にそんなに集中して時間をかけていたら、かえって具合が悪くなるように思う。
これもラジオで聞いた話だけれど、1950年から70年くらいは、歴史上最も家事の労力が小さく変化した時代ではないかとのこと。しかし、まだ主婦達は家庭の中でいわゆる「家事」だけに労力を注ぐ「専業主婦」であった。その結果、主婦達は以前と同じだけの家事労働の時間と手間を楽になった家事に注ぎ込んだので、この時代頃は家庭の食事が最も豊かになった時代なのだそうだ。
子どもを持つ女性が家事以外の様々な労働をするようになり、子どもにばかり気を使っていられなくなったこの時代はむしろ健全なのかもしれない。