本意ではない

NHKで「七瀬ふたたび」が始まった。
思いだしてみると実は自分の最初の筒井康隆体験は多岐川裕美主演の「七瀬ふたたび」だった。2才違いの弟は、最終回のヘンリーが死ぬ時の「ナナセサン、モウパワーガナイヨ」ってセリフをしばらく覚えていた。
中学生になって、まず文庫で「笑うな」を読んで、何だか判らなかった。その後で、「俗物図鑑」を表紙の絵で買った。
今も変わってないと思うけれど、文庫の表紙は、花和尚魯智深が記者会見に答えているところで、当時水滸伝に憧れていた私は、その手の短編集かと思って買った。買って読んでみると、長編でしかも純真な中学生には刺激的なエログロだったので、一気に読了。思いだしてみると「笑うな」も筒井康隆だったなということで次々と買っては読んだ。
高校生の頃、友達に「『時をかける少女』って筒井康隆だよ」って言われて、「うそぉ、全然違うじゃん」と思って確かめたら、やっぱりそうだった。読んでみたけど、面白くなかった。後に、筒井康隆自身があまり気に入っていないこと、「時をかける少女筒井康隆」と言われることが本意ではないと思っていることを知って我が意を得たりと思った。
で、「七瀬ふたたび」だけれど、ファーストコンタクトだし、七瀬三部作は傑作だし、その中で七瀬ふたたびは欠かせないピースではあるけれど、でもしかし、「家族八景」や「エディプスの恋人」の方がツツイだ。
(相対的に)ツツイではないことと、小学生だった自分よりはるかに成熟していた多岐川裕美の印象が強くて、自分よりはるかに小娘である今回の七瀬は見たくない。
でも「七瀬ふたたび」の七瀬は少女なんだよな。


こんなキャストだったら見るぞ。

七瀬   最近の子はわからん
ノリオ  須賀健太(ちょっと成長しちゃったかな)
ヘンリー ソフトバンクの「ヨソーガイデス」のお兄さん(もうちょっとマッチョでも。今回の七瀬では日本人が演じてたんじゃないかな?それも気に入らない)
岩淵   佐々木蔵之介(ちょっと年取り過ぎかな。今回の七瀬ではかっこよすぎ)