マニフェスト選挙に反対する

前から書こうと思っていたけれども、今ちょっと検索してみたところどうも書いてなかったみたいだから書きます。しばらく前から、選挙公約の代わりにマニフェストというものを出して、それを配ったりすることが流行っています。いわゆる改革派と呼ばれる地方自治体の長が始めたのがきっかけだったのではないかなと思ったりします。正直良くわからないので、例によってwikipediaの当該項目を見ると、

従来の選挙公約とは異なり、何をいつまでにどれくらいやるか(具体的な施策、実施期限、数値目標)を明示するとともに、事後検証性を担保することで、有権者と候補者との間の委任関係を明確化することを目的としている。

と書かれている。
で、これもまぁ、きちんと確認せずに書くのだけれど、例の今話題の「消えた年金」の「名寄せ」、自民党は2008年3月末までというのをマニフェストに書いているのではないのかな?模しそうだとしたら、それは「有権者と候補者との間の委任関係」に反するものとして検証されなければならない話で、いくら首相や担当大臣が遺憾の意を表明してもいけないのではないだろうか。


その話題はマニフェストに明記していないというのであれば、違う例を出そう。例えば、もう旧聞中の旧聞に属するけれど、この前のブッシュ対ゴアの大統領選挙。ゴアが敗北宣言をした時には、正直「まぁどっちが大統領になっても大して変わらないかな」とおもったけれど、おそらくあの時にゴアが大統領になったら今の世界はずいぶんと違うものになっていたはずだ。しかしその時、アメリカ国民も、選挙権のないその他全世界の人々も、大統領を選ぶ条件として「9・11テロにどのように対応するか」という条件を織り込むことはできなかった筈だ。
マニフェストは「(具体的な政策、実施期限、数値目標)を明示する」のが特徴であるが、選挙前と選挙後では世界の状況は変化する。変化したあとの状況を想定してそれにどのように対応するかをマニフェストで示すことは不可能である。舛添大臣が言うように(本当かどうかは別にして)、「こんなにひどいとは思わなかった」時に、どうするかをマニフェストで示すことは不可能であり、結局は「事後検証性を担保すること」は厳密には不可能ということになる。


だったらどうしたらよいか。二つアイディアがある。ひとつは、その人の思想信条で選ぶこと。右翼化左翼か、自由主義者社会主義者か、大きな政府支持か小さな政府支持か、環太平洋志向かアジア志向か、といったいくつかの条件で選挙民は自分の好みの思想信条を持つ者に投票すればよいのである。

もうひとつは、もうちょっと現実的、過去の発言や特に公的会議での投票行動を一覧にして公表すればよいのである。そうすれば、例の副大臣みたいに、かつては特定財源に反対していたのに、大臣になったら一転賛成してしまうという愚かな話は無くなる。一石二鳥じゃないか。