今度はイスカリオテのユダ

http://news.fs.biglobe.ne.jp/social/ym20060407i301.html

 米国の科学教育団体「ナショナルジオグラフィック協会」は6日、1700年前の幻の「ユダの福音書」の写本を解読したと発表した。

 イエス・キリストの弟子ユダがローマの官憲に師を引き渡したのは、イエスの言いつけに従ったからとの内容が記されていたという。

 解読したロドルフ・カッセル元ジュネーブ大学教授(文献学)は「真実ならば、ユダの行為は裏切りでないことになる」としており、内容や解釈について世界的に大きな論争を巻き起こしそうだ。

 13枚のパピルス古代エジプト語(コプト語)で書かれたユダの福音書は、「過ぎ越しの祭りが始まる3日前、イスカリオテのユダとの1週間の対話でイエスが語った秘密の啓示」で始まる。イエスは、ほかの弟子とは違い唯一、教えを正しく理解していたとユダを褒め、「お前は、真の私を包むこの肉体を犠牲とし、すべての弟子たちを超える存在になる」と、自らを官憲へ引き渡すよう指示したという。

えーっとぉ。またかって感じ。ダヴィンチコードの宣伝にしては、何故ユダかしらとも思うけど。

 記事から類推して、辞書的に説明してしまえば、今から1700年前と言うことは、紀元4世紀初頭。他のところでは、

 パピルス文献は4世紀のものと推定されるが、中身は紀元187年に書かれたギリシャ語文献からの翻訳と信じられている。
引用:http://theology.doshisha.ac.jp:8008/kkohara/SKJ.nsf/504ca249c786e20f85256284006da7ab/04429585d229802349257137005c15c0?OpenDocument

とあるが、真偽は不明。仮に大元が紀元187年のギリシャ語文献だとしても、どちらにしても、ほぼ間違いなくグノーシスの系統に属する初期キリスト教文書だろう。グノーシスは乱暴に言ってしまえば密儀宗教で、「隠された知恵」を「秘伝の書」に記すことが大好きな人たち(昨日あたりのニュースを思い出す。青森山中から見つかったりして)。キリスト教ははっきり言って、使徒ペトロが権威の象徴となったし、使徒パウロが新約正典の大部分を占める(使徒ヨハネが二人に次ぐ)。ところが、その他にも何人も弟子はいるし、その中には、ちょっと魅力的な人物もいる。イエスが彼らに、ペトロやパウロに教えなかった秘密の教えを教えていた。それがこれで、こいつを知っている私は、実は偉いんだぞ。ってな具合。これまで流行りだったのは、トマスによる福音書
まあ、こんなのをいくら解読しても、紀元4世紀の宗教についての知識以外、キリスト教には何の影響もない。

さっそく、

キリスト教各派の中には、キリスト教信仰の根幹を覆しかねない、と危険視する動きも出ており、
引用:同上

とか

福音書の写本を解読したチャップマン大学のマイヤー教授は、記者会見で「裏切り者のユダという基本概念を覆すものだ」と述べており、ユダの解釈に一石を投じるものとして論議を呼ぶことになりそうです。
引用:http://www3.nhk.or.jp/news/2006/04/07/d20060407000089.html

とか沢山釣られてる