再犯防止

このところ、また、信じられないようなバカな香具師の犯罪が続いて居る。同時に、性犯罪の再犯を防止するために、出所者の居住地を警察が把握する制度が出来たと言うニュースが流れている。随分とタイムリーだ。今朝の毎日の社説で、こんなのがあった。http://www.mainichi-msn.co.jp/column/shasetsu/news/20050520k0000m070138000c.html
でも、はっきり言って、この制度は何の効果も生まないと思う。
まず、当たり前のことだけど、万が一この制度で、性犯罪の再犯率をゼロに出来たとしても、性犯罪そのものはなくならない。なぜなら初犯者が居るからだ。
でも、再犯者を減らすだけでも、随分違うじゃないかと思うかもしれないけれど、再犯者自体減らせない。なぜなら、第一に、もし警察が、再犯者の居住地を完全に把握していても、彼が今この瞬間どこにいるのかは、把握できない。彼が犯罪を犯そうとする時に、その場に駆けつけて防止するのは不可能だ。英国では、性犯罪者にGDPを利用した監視装置を付けて、24時間所在を確認しているのだそうだが、それでも犯罪が起こってから、「そう言えば、この近くにはあいつがいたから、まず調べよう」程度だろう。所在を確認していたところで、事前に出来るのは、せいぜい定期的に訪問して顔色を伺うくらいしか出来ない。警官は、犯罪を犯すかもしれない人をそんなに訪問出来るほど暇なのだろうか?
韓国では、インターネットなどで性犯罪者の顔と名前、現在の居住地が分かるのだそうだ。しかし、そんなことをしても、その人が住んで居る近所の親達はどうしろというのだろう?近所の人たちで彼を監視する?子どもがその近所に近寄らないように教える?彼が通りかかったら、子どもを隠す?だいたい、そんなところをチェックして、自分の家の近所に性犯罪者が住んでいるかどうか確認して、その顔を覚えるなんて閑なことをするのだろうか?
第二の問題点として、これはもう指摘されて居るが、現在の制度では、居住地の移転が制限されている筈の保護観察処分の者まで、事実上ほぼ制限なく居住地を動いている。どんなに、警察が出所者の住所をリストしていても、そこに行ったら引っ越していたでは、話にならない。そして、警察はそんな転居を一々チェックしているほど暇ではない(筈だ)。
上に上げた毎日の社説は、厳罰化することで、犯罪抑止力を期待しているが、社説の中で書いている通り、その手の犯罪に走る人に、刑罰による抑止力はほとんど意味を持たない。結局、厳罰化、監視の強化は、再犯をする人は抑止できず、立ち直って、社会に戻ろうとする人を白眼視の下に晒して、立ち直りを阻害する効果しかない。

じゃあ、どうしろということだが、ここからちょっと「と」がかるのだけれど、その社会の中で、性犯罪に走る人、幼児性欲の要素を持つ人は常にある一定割合居る。と言う話を読んだ事がある。って事は、どんなに、制度を整えても、性犯罪の犯罪者予備軍は居なくならないということだ。
それでは実際の犯罪を防止する為にはどうしたらイイか。ちょっと暴論だけれど、要は、被害者にならないようにする心構えであろう。
「知らない人についていかない」「夜遅くまで遊んでいるな」「無断で外泊するな」「そんなチャラチャラした服を着るな」「出合い系サイトなんかで遊んでちゃダメ」そのくらい、親が教えろって事。それが一番有効な性犯罪防止策ではないだろうかと思う


※追記
 犯罪予備軍が顕在的な犯罪者にならないようにするための施策をするなというのではない。そのような施策は、当然必要だろうけれど、現行の制度や、今回の改正の方向性ではたぶん無理だと思うという話。何が有効な手段かは正直分からない。