サンプルとして(まとめ)

まとめるほどでもないのかもしれないけれど・・・
結局、たった一人で怒鳴り込んで大立ち回り(?)をした"info-lab6"氏が、はてなを退会して消えうせてしまうという完全勝利で終わってしまった。


2005-06-11
2005-06-21

そもそものきっかけは、町山氏が、配給会社に「検閲」された、自分の映画評の原稿を掲載したこと。そこにスターウォーズのエピソードについて、「平和で民主的な銀河共和国は、軍事独裁国家の銀河帝国に変わってしまう。・・・戦時体制を利用して民主的な投票で「皇帝」になったのだ。」とした後、「いつだってこうだ」とナポレオンやヒトラーの政権奪取、そして「ブッシュ大統領イラクに攻め込んだのも「民主的な投票」の結果だった」と並べた部分が「政治的」と削除されていることを批判している事に始まる。
ここで町山氏は、エピソード3が政治的なメッセージを持っていることについて「歴史上の独裁政権との関係についてはルーカス自身もインタビューで言ってることなので、これをカットしろというのは日本の配給会社の勝手な判断に違いない。」としていた。
ところが、"info-lab6"氏は、「政治的な映画について、「現在の政治」を絡めて書くことの愚はわきまえようね。これはあくまでファンタジー映画なんだから。それに「ブッシュがイラクに責め込んだ」なんてのは、あなたの滅茶苦茶な主観でしょう(笑)。」と書き、更に町山氏が「あと、ブッシュの政策との関係については、オイラだけじゃなくてみんなが言ってることなんだよね。」と追記したことを、後出しの書き換えであると批難する。


整理するとこう
"info-lab6"氏
1ファンタジーに現実政治を絡めて批評することは愚
2(上と関連して)配給会社が映画評をチェックするのは正当
3「ブッシュがイラクに攻め込んだは「主観」
4後から文章を書き換えるのは卑怯


それに対して町山氏は
1そもそも、エピソード3は政治的なメッセージが込められており、明るい娯楽映画ではない
アメリカではその批評が一般的であり、日本の配給会社の独走と思われる。
  そもそも、クライアントは雑誌社であり、配給会社の検閲は恫喝的でさえあった
3「攻め込んだ」は客観的な表現であり、ブッシュ自身も使っている
4書き加え、補強しただけで内容は変えていない

と反論し、完全勝利した。


1については、"info-lab6"氏の認識不足であり、これが彼の本質的な敗因であろう。「確かめずに文句を言うのは恐ろしい」と言う教訓である。


2については、"info-lab6"氏は、「こっちも一応業界の裏は知ってるが、雑誌編集者よりも供給元の方がヒエラルキー的に上なのは紛れもない事実だ。」と書いている。私は「業界の裏」は全く知らないので、何とも言えない。また、町山氏の言う通りに日本の配給会社の独走であったとしても、それは確かに突っ込まれるべき点ではあるが、そう言うこともあるのだと思う。アメリカでは政治的な映画として受け取られても受け入れられるが、日本ではそうではないということを日本の配給会社が判断したとしても不思議ではない。検閲の方法や恫喝まがいについてはマナーの問題。どんなやり方であっても不満は不満として残るだろう。この部分に物書きとしての町山氏の自分の文章に対するプライドが込められているので、いわばここが逆鱗。教訓としては、「相手の逆鱗に気付かないで触れてしまうことの愚かさ」か。


3「攻め込んだ」については、明らかに"info-lab6"氏はこの文章をイラク戦争の正当性と結びつけて読んでいる。しかし、町山氏は、単に「(米軍が軍事活動として)国境を越えた」と言う意味で使っており、その正当性や、政治的意味については問題にしていない。町山氏がブッシュの発言のソースを示したことが"info-lab6"氏敗走の直接のきっかけになっており、まさに天王山であった。「攻め込んだ」という言葉に政治的な意味を嗅ぎとってしまった"info-lab6"氏の脊髄反射がそもそもこの件のきっかけであることは間違いない。ウエッブ上の論争は、えてしてこういう脊髄反射的な誤読によることが多い。「文章は真っ白な心で何度も読みましょう」と言う教訓


4町山氏はコメント欄で「「書き換えた」なんてウソじゃん。「書き足した」んだよ。元の文章はいじってないんだから。」と言うが、"info-lab6"氏の批判の主要な点は、エピソード3が政治的なメッセージを持つ映画であるというのは、広く認識されている事実ではないと言うことであり、(それは事実誤認ではあるのだが)町山氏が後からそのことを補強する文章を加えて「穴を塞いだ」ことは、「書き換え」と映ったのだろう。ウェッブ上の文章が、一度公開された後どれだけ手を加えてよいのかと言う議論は、他でも時々目にすることがあるが、相手が切れているのだから、追記であることを明記しても良かったかもしれない。あの時点でその判断ができるかどうかは別だけど。「親切が仇になるということもある」と言う教訓か。


そう言うわけですが、一つだけ疑問点。
町山氏は、自分はブッシュを軍事独裁政権であるとは言っていないとしています。しかし、アップされている原稿の画像では、前述の通り、
「平和で民主的な銀河共和国は、軍事独裁国家の銀河帝国に変わってしまう。・・・戦時体制を利用して民主的な投票で「皇帝」になったのだ。」とした後、「いつだってこうだ」とナポレオンやヒトラーの政権奪取、そして「ブッシュ大統領イラクに攻め込んだのも「民主的な投票」の結果だった」
としています。確かに、ナポレオンやヒトラーは政権をとったことそのものが指摘されて居るのに対して、ブッシュについては、イラク侵攻だけを取り上げ、ブッシュ政権そのものが軍事独裁であるとは言っていません。
そこは確かにプロのですから、ブッシュ政権そのものをヒトラーと並べるようなうかつなことはしないのでしょうが、そこにトラップがあるような気がして。。。



追記。今回は、ネット炎上にありがちなウヨの集結が無く、最後まで"info-lab6"氏の孤独な戦いであったことは、どちらに正当性があるかを明らかにしていると言えるでしょう。
教訓。正義は勝つ