小泉首相の深謀遠慮

郵政民営化法案が、そろそろ大詰めを迎えつつある。例によって、自民党と内閣の間で泥仕合のようなやり合いをしている。こう言うのを見ると国会議員ってのは元気だなぁと思う。朝の三時まで議論をして、その日の夕方からまた会議とかいうのを50、60のオジさんたちがやっているんだからスゴイ。
この法案で例によって小泉首相は、流行語ともなった「抵抗勢力」との対決の図式を作り上げている。この小泉首相の政治手法(?)は、政治をショー化させ、自分への支持を高めることを目的としていると言われる。しかしどうも、もっと深い目的があるのではないかと思ってしまった。


いわゆる「抵抗勢力」との対決図式を作ることによって、小泉さんは、国会で政策を決めているのは自民党内部であることをあらわにしてしまった。今進んでいるやり方(部会→総務会→閣議→国会提出)は、これまでも採られてきた手順なのだけれども、これまで私(たち)は、国会の委員会審議が法案を決める場であると思っていた。しかし、小泉さんはこれまであまり注目されなかった自民党の部会内部での意見対立を露にすることで、実は自民党の党内手続きで法案が決まっていることをばらしてしまった。
これによって、国会の審議はいわばセレモニーとなってしまう。今回の郵政民営化法案でも、総務会で決まって閣議決定すれば、あとは、岡田さんや、ましてや福島さんや志井さんが何と言おうと法案はほぼそのまま通過するだろう。
これによって、私たちは、どんな政治判断をする人でも自民党に投票せざるを得なくなる。郵政民営化でも、高速道路でも、規制緩和地方自治でも、それこそ憲法改正や海外派兵でも、自民党の中に賛成派と反対派が居て、その触れ幅はむしろ野党との距離より大きく、また野党よりも政策に反映される可能性が高いのである。
小泉さんは日本は一党独裁国家であることを明らかにし、それを強化しようとしているのではないか。


もう一点。
こんなニュースがあった。「人権擁護法案で自民混乱/古賀氏が「一任」宣言 | 全国ニュース | 四国新聞社」綿貫さんや郵政族がバタバタやっている陰(?)で、おんなじ様なことをやっていたのだけれど、それはあまり取り上げられていない。一つの対決を表に立たせて、その裏であまり注目されたくない、そしてより重要な法案を通そうという意図があるのではないだろうか。私たちが綿貫さんの怒れる顔を見て居る間に、ひっそりと着々と信仰している別の動きがあるのではないかと思う。

追記:書いたままアップせずに放置していたら、こんなニュースも。「一任せず議論継続を確認/人権法案で自民法務部会 | 全国ニュース | 四国新聞社」予断を許さないということかな?